1992 年 29 巻 8 号 p. 641-643
重症心身障害児(者),精神遅滞者を対象に精神的要因が高いと想定される歯科診療(歯石除去)を実験的に行い,この急性ストレスに対する生理的反応を分析した.その反応指標には自律神経系として皮膚電気抵抗,体性神経系として筋電図とビデオによる行動観察,両神経系の活動を反映する心拍数をとりあげた.健常者はこのストレスを精神的負荷としてとらえ,リラクセーションによって対応しようとした.精神遅滞者もストレスを精神活動として認知するが,身体活動として解消する傾向を示した.一方,重症心身障害児(者)はこれを快不快といった感覚レベルでとらえ,身体活動を通して反応した.