リハビリテーション医学
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脂肪/水抑制画像MRIによる片麻痺性筋萎縮の評価
椿原 彰夫千野 直一近藤 国嗣岡島 康友
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1996 年 33 巻 10 号 p. 701-709

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抄録

片麻痺患者の骨格筋に生じる生理学的変化を調べるために,歩行可能な脳卒中患者24名ならびに健常者10名における大腿部MRI検査を行った.使用したプログラムは脂肪/水抑制画像で,各筋のピクセル値を計測した.さらに,12名の患者については歩行訓練を開始する前にもMRI計測を行い,初回MRIと歩行能力獲得後のMRIとの比較を行った.歩行可能な左片麻痺患者では,全ての筋における脂肪抑制画像ピクセル値(PV1)ならびに水抑制画像ピクセル値(PV2)に増加が認められた.しかし,右片麻痺患者では,PV1に統計学的有意な増加が認められた筋は,大腿直筋,大腿二頭筋,大内転筋のみであった.訓練による効果を捉えるには,PV1の方がPV2よりも鮮明であった.麻痺側に関しては,訓練によるPV1の減少が膝関節伸筋に認められた.一方,非麻痺側では,全ての筋におけるPV1と膝関節伸筋のPV2が歩行訓練終了後に減少する傾向を示した.これらの結果から,骨格筋内の水分および脂肪含量は低活動によって増加すると考えられた.さらに,増加した水分および脂肪含量は,麻痺側・非麻痺側ともに通常のリハビリテーションプログラムによって減少することが示唆された.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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