1996 年 33 巻 3 号 p. 176-181
CTを用いて脳血管障害患者の傍脊柱筋筋断面積を測定した.対象は脳血管障害片麻痺患者80名である.傍脊柱筋をL3~L4間,中殿筋をL5~S1間でCT撮影し,それぞれの筋をトラックボールで囲み断面積を求めた.その領域内の正常筋CT値(30~120HU)を示す部分をL3レベルの体幹全体の面積で除した値を筋%面積として算出した.71例で脳病巣同側と対側との傍脊柱筋筋%面積の差を認めなかったが,9例においては脳病巣同側の筋%面積の方が小さかった.この脳病巣同側がより萎縮している群は,上下肢の麻痺は共同運動レベル以下,発症からCT撮影までの期間は90日以上,さらに歩行可能であるが速度は1.0m/sec以下という特徴を有していた.