2007 年 44 巻 6 号 p. 347-351
変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee 以下膝OA)に対する温熱療法の有効性は広く知られているが一般的には乾熱によるものが大半である.今回は蒸気発生を伴う湿熱シートを開発し,その効果について検討したので報告する.膝OAと診断された女性41例のうち4週間治療を継続し得た37 例(湿熱シート群20 例,乾熱群シート17 例)を対象とした.評価は,WOMAC,日整会膝OA評価点(JOA score)などを用いて,治療前,治療開始2および4 週間後に行った.total WOMACでは,湿熱群は2 週後,4 週後ともに有意な改善がみられた.乾熱群でも開始2 週後には改善がみられたがその後は改善がみられなかった.WOMACの各項目のうち特にstiffnessでは湿熱群でのみ有意な改善がみられた.JOA scoreでも歩行能に関して湿熱群でのみ有意に改善がみられた.以上より湿熱シートの効果は疼痛,特に歩行能やこわばり感の改善に対する有効性がより高いことが確認された.