The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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短報
脳性麻痺患者の慢性疼痛に対するボツリヌス毒素Aを用いた治療
劉 斯允窪田 秀明桶谷 寛伊藤 由美原 寛道
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2007 年 44 巻 7 号 p. 398-401

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抄録

成人脳性麻痺患者の慢性疼痛に対してボツリヌス毒素Aによる治療を実施した.対象は平均年齢47 歳の患者5 名(四肢麻痺3 名,両麻痺1 名,アテトーゼ1 名),重症度は5 名とも粗大運動能力分類システムにてレベルIVであった.頸部と体幹筋の疼痛部位に最大6 単位/kg量のボツリヌス毒素Aを筋肉内へ分注した.治療前後1 ヵ月の状態を評価したところ,疼痛尺度にて初回注射前後で有意な改善を認め,2 回目以降でも同様な結果が得られた.鎮痛効果は4 ヵ月でほぼ消失していたが,注射前に比較して疼痛尺度のスコアは低下していた.Tsui変法では注射前後の有意な改善がなく,再投与時に注射前のスコアに戻っていた.これまで,ボツリヌス毒素Aは眼瞼・顔面痙攣や痙性斜頸の異常な緊張緩和に有効と報告されてきたが,姿勢の改善がなくとも慢性疼痛に対しての効果が得られる場合がある.脳性麻痺患者の慢性疼痛の治療選択肢の1つになり得ると考えられた.

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© 2007 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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