The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
Online ISSN : 1881-8560
Print ISSN : 1881-3526
ISSN-L : 1881-3526
原著
上下肢痙縮を有する脳卒中後の片麻痺患者を対象としたA型ボツリヌス毒素製剤投与状況の調査
木村 彰男安保 雅博正門 由久山下 義之前田 俊夫
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 52 巻 7 号 p. 421-430

詳細
抄録

日本人の上下肢痙縮に対してA型ボツリヌス毒素製剤(BoNT/A)を投与する際の指針となるデータを収集すべく,脳卒中に罹患した片麻痺患者を対象として診療録に基づく多施設共同・後方視的研究を実施し,日常診療で痙縮の治療に携わっている医師の診療状況を調査した.調査対象期間(2012年1月1日~2013年11月30日)にBoNT/Aを投与された307例のデータを集計した結果,1回あたりの合計投与量や1筋あたりの投与量・注射部位数,筋同定法,薬液濃度など,BoNT/A投与の結果に影響する多様な因子について情報が得られた.1筋あたりのBoNT/A投与量を左右する因子としては,患者の体格よりも痙縮の重症度が重視されている可能性が示唆された.経験豊富な医師によるノウハウの一端を明らかにした本研究の集計結果は,実地臨床においてBoNT/Aを投与する際の目安となることが期待される.

著者関連情報
© 2015 社団法人 日本リハビリテーション医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top