抄録
右半球の脳血管障害後の主要な高次脳機能障害は,半側空間無視,病態失認,半側身体失認である.特に半側空間無視は,急性期を過ぎても残ることが少なくなく,リハビリテーションの実施にあたって見落としのない評価と対応が重要である.日常生活動作を念頭に置いた探索訓練に加えて,プリズム順応などのボトムアップアプローチ,低頻度反復経頭蓋磁気刺激も含めて,幅広く改善の手がかりを得たい.また,半側空間無視があるなりに日常生活動作を可能とする機能的アプローチも欠かせない.右半球損傷では,言語性に頭でわかったような応答をすることが多い一方で,真の病識は乏しい.転倒リスクも高くチームアプローチでの評価と対応が大切である.