2016 年 53 巻 7 号 p. 540-543
地域包括ケアシステムとは,重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしく生きることができるようにするシステムであり,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)や多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)などの神経難病患者も含まれる.人工呼吸器を装着し日常生活動作(activities of daily living:ADL)全介助の状態で在宅療養生活を送るこれらの患者においても,自分らしく生きることについてはリハビリテーション(以下,リハ)の関わりが重要である.そのためには,地域で神経難病患者を対応できるリハ専門職の育成が必要である.筆者の東京都立神経病院(以下,神経病院)と東京都医学総合研究所(以下,医学研)での経験と,東京都作業療法士会の立場から東京都における地域包括支援ケア時代の神経筋疾患患者へのリハを考えた.