神経筋疾患の摂食嚥下障害は,脳卒中や頭頚部がんなどと異なり経時的に増悪することが多く,定期的な評価と病態や予後に合わせた治療方針の検討を必要とする.咽喉頭機能のみでなく,四肢体幹機能・呼吸機能・耐久性・認知機能など全身の機能を評価する.評価・対応は,一般的な嚥下機能障害に対するものに,疾患特有のものを追加する.神経筋疾患患者は,全身の機能障害により移動能力やコミュニケーション能力の低下などの制約があり,食事を人生の楽しみとしていることも多い.そのため,摂食嚥下障害があるからといって安易に摂食制限をせず,疾患の予後や経口摂取によるリスクなどを踏まえ,患者や家族と共に方針を決定すべきである.