2017 年 54 巻 1 号 p. 23-26
筆者は,20年ほど前に,慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンターにて,手関節装具を併用し,微細な随意筋電を信号源として,電気刺激で手指伸展をアシストするIVESを開発した.その後,前記センターと,国立病院機構村山医療センターで,神経科学研究や臨床的エビデンスを積み上げながら,約1,000万円かけて改良してきた.IVES装置は,知財マネジメント,医療機器としての製品化・薬機法承認・事業化をすでに2008年に達成した,純国産リハビリテーション医療機器のパイオニアであり,現在,年間約400台販売され,保険診療の中で広く活用されている.本稿においては,純国産医療機器開発の成功事例として,IVES装置の開発経緯や歴史,今後の展望について紹介する.