【目的】人工股関節全置換術(THA)にはさまざまな進入法があり,それぞれの手技の長短は明らかとされていない.そこで本研究では,anterolateral supine approach(AL-S)と小切開THAであるposterior approach(PA)との進入法の違いによる術後早期の身体機能の差異を明らかにすることを目的とした.
【方法】対象は初回THAのうち片側性変形性股関節症とし,これらをAL-S群とPA群に分けた.手術はすべて同一の術者が行い,術後は両群ともに同一のクリニカルパスを使用してリハビリテーションを実施した.検討項目は,筋力,関節可動域(ROM),移動能力,疼痛とした.
【結果】股関節外転,外旋,伸展筋力,および股関節伸展可動域においてAL-S群のほうがPA群より回復が早かった.その他の項目に関して差は認められなかった.
【結論】AL-SとPAとの進入法において,筋侵襲の違いによって,身体機能の差が生じており,これらを改善させるために進入法の特徴に合わせたリハビリテーションプログラムを確立することが必要である.
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