The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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54 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
特集『先端機器とリハビリテーション』
  • 道免 和久, 吉田 直樹
    2017 年54 巻1 号 p. 4-8
    発行日: 2017/01/18
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    片麻痺上肢のリハビリテーション(以下,リハ)にロボットが広く利用されることが期待されている.ロボットは運動学習則のうち,特に強化学習に有利なツールであるが,日常生活活動(ADL)の転移(汎化)は十分でない.主な上肢リハ支援ロボットを比較検討した結果,企業による安定供給とランダム比較試験によるエビデンスの点で,Amadeo®,ArmeoPower®,InMotion ARM®,Bi-Manu-Track®,ReoGo®の5機種が有力である.一方,上肢ロボットリハ全体の効果は証明されているが,運動学習の観点から課題や制御そのものについての議論は不足している.今後,Human-Robot Interaction(HRI)分類などを利用した解析,ADLへの転移,企業の姿勢などが課題である.

  • 平野 哲, 才藤 栄一, 角田 哲也, 田辺 茂雄, 加藤 正樹, 山田純也 , 谷川 広樹, 佐々木 慎弥, 加藤 大典
    2017 年54 巻1 号 p. 9-13
    発行日: 2017/01/18
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    歩行練習アシスト(GEAR)は,脳卒中片麻痺患者が効率よく歩行を学習することを支援するロボットである.長下肢ロボットの膝関節モータが適切なタイミングで膝関節の屈曲・伸展を行うことにより,練習初期から最小介助で,過剰な代償動作なしに最終歩容類似の多数歩練習が可能となる.GEARの特徴は高フィードバック性と精緻な調整性であり,これらを適切に用いることにより運動学習を促すことができる.練習支援ロボットを効果的に利用するためには,運動学習の視点が重要である.適応を正しく判断し,適切なパラメータ調整やフィードバックの選択を行うことで,高い効果が得られると考えられる.

  • 中島 孝
    2017 年54 巻1 号 p. 14-18
    発行日: 2017/01/28
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    新医療機器を健康保険適用とするためには,治験で効能・効果と安全性を検証し,医療機器製造販売承認を受ける必要性がある.HAL医療用下肢タイプは,医師主導治験において,希少神経筋8疾患を対象として,歩行運動療法の短期有効性と安全性が検証され,2016年9月から健康保険で使用可能となった.HAL使用の歩行運動療法(サイバニクス治療)は随意運動意図を装着者から生体電位として読み取りerrorless学習を達成するニューロリハビリテーションである.添付文書,適正使用ガイド,安全使用講習などを受けた医療従事者により長期有効性を含む使用成績調査が行われている.適応拡大治験が実施されており,今後複合療法も期待される.

  • 越智 光宏, 加藤 徳明, 佐伯 覚, 蜂須賀 研二
    2017 年54 巻1 号 p. 19-22
    発行日: 2017/01/18
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    ウォークエイド®(以下,WA)は表面電極型の機能的電気刺激装置の1つであり,内蔵された傾きセンサーを用いて,遊脚期を中心に電気刺激を行い足関節を背屈させる.

    慢性期脳卒中患者で下垂足を呈する患者に対し歩行能力が向上する(脳卒中ガイドライン2015・グレードB)といわれているが,わが国での無作為比較研究はこれまで行われていない.

    われわれはこれまでの探索的臨床研究に基づき,慢性期脳卒中片麻痺患者で歩行が自立した患者を対象とし,WAを用いた歩行訓練を行うことで足関節機能や歩行能力が向上する可能性があると考えている.現在,多施設の無作為前向き比較研究を通常歩行訓練と比較して実施中である.

  • 村岡 慶裕
    2017 年54 巻1 号 p. 23-26
    発行日: 2017/01/18
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    筆者は,20年ほど前に,慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンターにて,手関節装具を併用し,微細な随意筋電を信号源として,電気刺激で手指伸展をアシストするIVESを開発した.その後,前記センターと,国立病院機構村山医療センターで,神経科学研究や臨床的エビデンスを積み上げながら,約1,000万円かけて改良してきた.IVES装置は,知財マネジメント,医療機器としての製品化・薬機法承認・事業化をすでに2008年に達成した,純国産リハビリテーション医療機器のパイオニアであり,現在,年間約400台販売され,保険診療の中で広く活用されている.本稿においては,純国産医療機器開発の成功事例として,IVES装置の開発経緯や歴史,今後の展望について紹介する.

  • 大本 将之, 志波 直人
    2017 年54 巻1 号 p. 27-30
    発行日: 2017/01/28
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    微小重力により,宇宙飛行士の筋骨格系は著しい廃用性変化をきたす.火星探査では狭い宇宙船内での運動が必要となるが,従来の宇宙飛行士用の訓練装置は大型で使用が困難である.ハイブリッドトレーニング装置は,運動時に動作を妨げる拮抗筋を電気刺激して得られる筋収縮を運動抵抗とし,小型で自身の体内で運動抵抗を発生させることから,このような制約が大きい環境下での使用が可能である.

    2009年,国際宇宙ステーション利用研究に採択され,本装置を1名の宇宙飛行士の非利き腕に装着し,週3回4週間,計12回のトレーニングを行い,廃用予防改善効果を検証した.同時に5年間の産学協同研究により,下肢用トレーニング装置が市販された.

  • 斉藤 公男, 島田 洋一, 宮腰 尚久, 松永 俊樹, 巌見 武裕, 本郷 道生, 粕川 雄司, 齊藤 英知, 益谷 法光, 高橋 靖博, ...
    2017 年54 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 2017/01/28
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    安全にバランス機能を測定するため,動的座位によるバランス計測装置を開発した.本装置は、座面反力(重心動揺)を検出する計測装置と,モータの回転により座面を側方傾斜させ一定の周期で座面を振動させる外乱刺激装置で構成される.3軸力学センサを用い,座面の圧力と圧力中心点を算出することが可能である.座位で計測を行うことで安全であり,下肢の影響を受けないため体幹バランス能力の評価にも使用できると考えている.現在までに行った基礎実験やフィールドワークでの活動,および本装置を用いた介入試験の結果と有用性,今後の活動について概説する.

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原著
  • 永渕 輝佳, 永井 宏達, 玉木 彰, 永冨 孝幸, 松本 恵理子, 二宮 晴夫
    2017 年54 巻1 号 p. 56-66
    発行日: 2017/01/18
    公開日: 2017/03/28
    ジャーナル フリー

    【目的】人工股関節全置換術(THA)にはさまざまな進入法があり,それぞれの手技の長短は明らかとされていない.そこで本研究では,anterolateral supine approach(AL-S)と小切開THAであるposterior approach(PA)との進入法の違いによる術後早期の身体機能の差異を明らかにすることを目的とした.

    【方法】対象は初回THAのうち片側性変形性股関節症とし,これらをAL-S群とPA群に分けた.手術はすべて同一の術者が行い,術後は両群ともに同一のクリニカルパスを使用してリハビリテーションを実施した.検討項目は,筋力,関節可動域(ROM),移動能力,疼痛とした.

    【結果】股関節外転,外旋,伸展筋力,および股関節伸展可動域においてAL-S群のほうがPA群より回復が早かった.その他の項目に関して差は認められなかった.

    【結論】AL-SとPAとの進入法において,筋侵襲の違いによって,身体機能の差が生じており,これらを改善させるために進入法の特徴に合わせたリハビリテーションプログラムを確立することが必要である.

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