The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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ISSN-L : 1881-3526
原著
過疎地在住高齢者における余命とQOLの変化に関連する諸要因の分析
―リハビリテーション医療における社会的診断手法の開発に向けて―
本田 玖美子久保 沙織坂爪 一幸本田 哲三川上 昌子
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2017 年 54 巻 12 号 p. 994-1006

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抄録

目的:高齢者用社会的診断手法の開発のため,余命と生活の質(QOL)の影響要因を探索した.

方法:2007年に長野県Y村全住民の心身機能・生活状況・QOL・低栄養リスクの実態を調査した.2014年に前調査時65歳以上であった高齢者に追跡調査を実施し,余命とQOLに影響する要因を追究した.

結果:余命に最も影響する要因は,心身機能的側面では男女とも年齢で,社会・経済的側面では,男性は「外出方法(自動車の運転の有無)」,女性は「普段の過ごし方(寝たり起きたりかどうか)」であった.身体的QOLに最も影響する要因は,男性は日常生活活動(ADL)の変化,女性は年齢であった.精神的QOLに最も影響する要因は,男性は外出頻度,女性はADLの変化であった.

結論:余命に影響する要因はQOLのそれと一致せず,長寿とQOLの維持・向上とは必ずしもつながらないことが示唆された.また,影響する要因には性差があった.QOLの維持・向上には,ADLを維持し,個人のライフスタイルを継続する支援が重要である.

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© 2017 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
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