The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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ISSN-L : 1881-3526
54 巻 , 12 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
特集『息切れのリハビリテーション』
  • 西野 卓
    2017 年 54 巻 12 号 p. 936-940
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    呼吸困難は異常な呼吸感覚であり,呼吸困難の発生には呼吸調節系で重要な役割を果たしているいくつかの感覚受容器が大きく関与している.受容器からの情報は延髄,視床を経由し,体性感覚野や大脳辺縁系に収束する.現段階で最も有力な呼吸困難の発生機序は,中枢-末梢ミスマッチ説あるいは出力-再入力ミスマッチ説と呼ばれている説であり,これらは中枢からの運動出力と神経受容器からの求心性入力に乖離あるいはミスマッチが存在する場合に呼吸困難感が発生するという説である.この説において,中枢からの運動出力は逆行性に大脳皮質感覚受容野に伝えられ,求心性入力には呼吸調節系に存在するすべての受容器からの入力が含まれる.

  • 中村 健, 岡村 正嗣, 佐伯 拓也
    2017 年 54 巻 12 号 p. 941-946
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    息切れは,健常者においても急激な激しい運動を行うと起こるが,安静時や軽微な運動によって息切れが起こる場合には,病的な状態であることが考えられる.息切れの程度を評価するための代表的な評価法には,修正Borgスケール,Visual Analogue Scale(VAS),Fletcher, Hugh-Jones分類,modified British Medical Research Council(mMRC)息切れスケール,Baseline Dyspnea Index(BDI)およびTransition Dyspnea Index(TDI),Oxygen Cost Diagram(OCD)などがある.

    さらに,病的な息切れであると判断した場合は,息切れの原因となっている疾患を診断することが重要である.息切れの原因には,呼吸器疾患,循環器疾患,神経筋疾患,廃用症候群などが考えられる.まず,呼吸数・呼吸様式,呼吸音,心音,心拍,血圧,胸郭・四肢所見などの身体所見から,息切れの原因疾患を判断することが重要である.

  • 牧田 茂
    2017 年 54 巻 12 号 p. 947-951
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    心不全患者においては,労作時の過度な換気増大は,息切れとなって症状にあらわれる.これは,換気血流不均衡から生じる死腔の増大と慢性的な肺静脈圧の増加による肺血管障害,気管支の過反応による気道抵抗上昇から生じる.運動生理学的には分時換気量(VE)を増加させている要因は死腔換気量(VD)であり,心不全での呼吸パターンの変化と換気血流不均衡増加の主たる原因となる.運動中の肺毛細管圧の上昇や肺胞壁・間質の浮腫などは肺コンプライアンスの低下を招き,一回換気量増加を妨げる.そこで,VEを増加させるために呼吸数が増加する,いわゆる浅く速い呼吸となって,解剖学的死腔に起因するVDが増加する.運動中の心拍出量の増加が少ないことは,換気血流不均衡によるVDを増加させ,あわせて心不全での運動中のVDを増すこととなり,その結果二酸化炭素排泄量に対するVEが増加する.

  • 角田 亘
    2017 年 54 巻 12 号 p. 952-956
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    筋萎縮性側索硬化症(ALS)やデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)などの神経筋疾患は,呼吸筋力の低下から拘束性換気障害を呈する.このような疾患に対して,近年では,身体に侵襲を加えることなく導入可能な非侵襲的陽圧換気(NPPV)が用いられている.NPPVの導入は,特にALSの場合では自覚症状,肺活量,動脈血酸素飽和度,血中二酸化炭素分圧などに基づいて決定される.しかしながら,呼吸障害が増悪した場合には,NPPVから気管切開下陽圧換気療法への移行が必要となる.さらには,気道クリアランスを目的とした体位排痰法,徒手的咳介助,カフアシストを用いた機械的咳介助なども行うのがよい.

  • 補永 薫, 藤原 俊之
    2017 年 54 巻 12 号 p. 957-960
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    廃用症候群では,呼吸器系のみならず筋骨格系,精神系,循環器系など幅広い器官における変調をきたし,しばしば息切れ症状が発生する.息切れはさまざまな動作や活動に対する心理的,物理的なハードルとなり,患者のADL,QOLの低下因子となる.息切れのへの対処においては,その発生状況を詳細に把握したうえで,悪化の予防,教育,運動療法を行う.必要であれば補助具や環境整備も考慮する.整容動作など,一見負荷が少なそうにみえる動作でも,上肢の挙上位の保持が必要な動作では息切れをきたしやすいため注意が必要である.単一の介入のみで息切れ症状を克服することは困難であることが多く,総合的に介入を行っていく必要がある.

  • 高橋 珠緒
    2017 年 54 巻 12 号 p. 961-964
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    肥満の呼吸機能への影響として,肺容量の低下,呼吸器系のコンプライアンス低下,呼吸数の増加,気道抵抗の増大などが報告されている.肥満は息切れのリスクファクターとなる.特に労作時の息切れは肥満者によく認められ,その機序は明らかとなってはいないものの,運動時の酸素摂取量の増加,呼吸筋の負荷量増大,機能的肺容量低下による呼気流量制限と関係すると考えられている.肥満者の息切れを改善する方法として,体重減量や有酸素運動が挙げられる.われわれは,肥満症患者に対し包括的肥満リハビリテーションを施行し,体重減量とともに呼吸機能の改善を認めた.労作時の息切れは運動療法を継続する阻害因子となり得るため,運動強度や時間に留意して進めていく必要がある.

  • 東本 有司
    2017 年 54 巻 12 号 p. 965-968
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)の罹患者は年々増加しており,肺の生活習慣病といわれている.労作時呼吸困難はCOPDの主要な症状の1つで,このために日常生活に支障をきたすことが多い.COPDにおける呼吸困難の機序はまだ十分に解明されていないが,低酸素血症以外にも,肺の動的過膨張やうつ・不安症状なども関連していることがわかっている.呼吸困難に対する薬物治療としては気管支拡張薬の吸入薬が第一選択であるが,症状改善が十分でないことが多く,呼吸リハビリテーション,栄養指導,心理的サポート,社会的サポートなどの包括的な介入が必要である.

  • 金﨑 雅史
    2017 年 54 巻 12 号 p. 969-973
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    進行したがんやCOPDを有する患者において,薬物療法などの病態生理学的治療によって呼吸困難の病態を完全に改善できることは少ない.しかし,多くの慢性疾患と一致して,COPDでは身体活動性は重要な生命予後指標であり,呼吸困難の存在は身体活動制限の主要因子である.したがって,適切な治療のうえでなお存在する呼吸困難にも多角的視点から緩和的介入が求められる.本稿では,呼吸困難に苦しむ患者の暗澹たる思いに光を灯す手法となり得る非薬物療法を自験例も含めて概説する.

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原著
  • ―リハビリテーション医療における社会的診断手法の開発に向けて―
    本田 玖美子, 久保 沙織, 坂爪 一幸, 本田 哲三, 川上 昌子
    2017 年 54 巻 12 号 p. 994-1006
    発行日: 2017/12/18
    公開日: 2018/01/10
    ジャーナル フリー

    目的:高齢者用社会的診断手法の開発のため,余命と生活の質(QOL)の影響要因を探索した.

    方法:2007年に長野県Y村全住民の心身機能・生活状況・QOL・低栄養リスクの実態を調査した.2014年に前調査時65歳以上であった高齢者に追跡調査を実施し,余命とQOLに影響する要因を追究した.

    結果:余命に最も影響する要因は,心身機能的側面では男女とも年齢で,社会・経済的側面では,男性は「外出方法(自動車の運転の有無)」,女性は「普段の過ごし方(寝たり起きたりかどうか)」であった.身体的QOLに最も影響する要因は,男性は日常生活活動(ADL)の変化,女性は年齢であった.精神的QOLに最も影響する要因は,男性は外出頻度,女性はADLの変化であった.

    結論:余命に影響する要因はQOLのそれと一致せず,長寿とQOLの維持・向上とは必ずしもつながらないことが示唆された.また,影響する要因には性差があった.QOLの維持・向上には,ADLを維持し,個人のライフスタイルを継続する支援が重要である.

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