The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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原著
変形性膝関節症患者における人工膝関節全置換術前の筋力低下と関節可動域制限
天野 徹哉玉利 光太郎内田 茂博伊藤 秀幸田中 繁治森川 真也河村 顕治
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2017 年 54 巻 5 号 p. 384-391

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抄録

目的:膝OA患者の身体機能に関連する因子を検討し,術前の機能低下の実態を明らかにすることである.

方法:TKA前の重度膝OA患者467名を対象とし,背景因子(性別・年齢・BMI・K-L分類・疼痛)と身体機能(筋力・ROM)の調査・測定を行った.背景因子を独立変数,身体機能を従属変数とした重回帰分析を行い,有意に関連する因子を基に階級分けをしたうえで術前機能の中央値を算出した.

結果:膝関節筋力の関連因子は性別・BMI・K-L分類・疼痛であった.膝屈曲ROMの関連因子は性別とBMIであり,膝伸展ROMの関連因子はK-L分類であった.膝伸展筋力の中央値は男性0.98/0.92 Nm/kg(Grade 3/Grade 4),女性0.70/0.59 Nm/kgであり,膝屈曲筋力の中央値は男性0.53/0.45 Nm/kg,女性0.36/0.30 Nm/kgであった.膝屈曲ROMの中央値は男性130°,女性120°であり,膝伸展ROMの中央値は-5/-10°(Grade 3/Grade 4)であった.

結論:TKA前の筋力低下とROM制限の程度を明らかにした.本研究で得られた知見は,膝OA患者の機能低下を解釈する際の一助になると考える.

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© 2017 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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