2018 年 55 巻 11 号 p. 933-938
転倒予防対策は医療機関にとって重要な課題であり,重点的に取り組む必要がある.しかし,その効果は限定的である.限度を超えた転倒予防策は,過剰な予防策による患者への害,医療機関の組織の疲弊につながる危険性がある.ここでは転倒対策による「益」と「害」,コストや患者負担も考慮して,総合的な判断をすることが必要である.そして,PDCAサイクルにより継続的な改善を行い,組織ごとに最善の結果を生み出す努力を行うことが求められる.これには強固な医療システムを構築することが必要である.このような活動を継続することで全職員が医療安全に関心をもつ風土を形成することが可能となる.