血管原性切断すなわち糖尿病性足部病変,重症下肢虚血による下肢切断は,機能予後,生命予後とも不良であるため,その予防は国家的重要課題である.下肢切断の発生率は地域間,人種間だけでなく,同国内の施設間でも大きく異なっている.それは,疫学調査におけるデータ抽出した情報源の違い,切断レベル分類の違い,足趾切断,複数回切断の扱いの違いなどのためである.それでもわが国の下肢切断発生率は,欧米に比べてはるかに低く,血管原性切断の割合も少ない.血管原性切断を回避するための医療技術の進歩により,わが国では切断後義肢装着訓練を必要とする大切断はさらに減少すると予想され,リハビリテーション技術の伝承が課題となっている.