目的:単純X線で経過を追った麻痺性側弯症の特徴を検討した.
対象と方法:経時的に脊椎臥位正面単純X線を撮影した脳原性疾患症例中,最終観察時15歳以上で骨操作を伴う外科的治療を受けていない14例を対象とした.粗大運動能力,カーブの部位と向き,Cobb角,年代別進行度,股関節脱臼の評価として股関節正面単純X線でmigration percentageを計測した.
結果:最終Cobb角は胸椎カーブ82.0°,胸腰椎118.4°,腰椎92.3° と胸腰椎で最大で,最も進行幅が大きかった.年代別では,10~15歳時の進行が12.5°/年で最大だった.股関節脱臼ありの最終Cobb角102.8°,亜脱臼あり108.8°,脱臼なし87.5° で,脱臼の有無による違いはなかった.
考察:胸腰椎カーブが最も進行しやすく,特に10~15歳時に増悪する.股関節脱臼と側弯のタイプ,角度の関連はなく,両者の経過もさまざまである.
抄録全体を表示