The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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特集『運動失調とリハビリテーション医学』
小脳失調のリハビリテーション医療
―上肢について―
筧 慎治本多 武尊李 鍾昊吉田 大峰渡部 雅也近藤 敏之三苫 博水澤 英洋
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2019 年 56 巻 2 号 p. 94-100

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抄録

現在の小脳失調の評価は,患者の運動を目視によりスコア化するSARAなどが主流であり,定量性・記録性に乏しい.そこで,次世代の小脳失調のリハビリテーション医療と治療法開発に共通して必要になるのが,精度の高いエビデンスを提供できる新しい評価法である.その開発に関しては質と精度の2つの課題があり,本稿では,われわれが手がけてきた次世代の小脳失調の評価システムの開発状況について紹介する.まず,質的改善への取り組みとして,予測制御器とフィードバック制御器の出力を分離する新しい方法と,小脳失調の評価への応用を紹介する.次いで精度向上への取り組みとしてMicrosoft社の簡易モーションキャプチャーであるKinect v2を用いた,SARAのデジタル化とその効果について紹介する.最後に,これらの開発を通してわれわれが学んだ小脳失調の所見に基づいて,小脳失調に対するリハビリテーション治療に推定される共通原理の考察を行う.

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© 2019 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
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