パーキンソン病(PD)の進行期において,認知機能障害は頻繁にみられる問題である.近年,PDにおける軽度認知障害(MCI)を含めた認知症発症前期に関して研究の焦点が向けられ,MCIはPDにおける認知症の前兆である知見が示されている.MCIでの認知機能障害は進行性であるが,一部では健常な認知機能に戻ることもある.PDの認知機能障害は,レビー小体の病理が辺縁系と大脳皮質に拡散することが原因と考えられるが,他の機序も推定されている.脳画像の研究では,認知症関連蛋白を分子レベルで視覚化する手法が開発された.PDの認知機能障害を阻止する決定因子は明らかではなく,さらなる病態の解明と創薬の開発が期待される.