パーキンソン病患者における摂食嚥下障害は,予後決定因子かつQOL阻害因子である.高率に合併し,病識に乏しく,先行期から食道期の各期に障害がみられる.不顕性誤嚥が少なくなく,身体的運動障害とは必ずしも関連しない.治療薬の副作用によるジスキネジア,OFF症状が影響するとともに,服薬障害が薬効を左右する.また,食事性低血圧による失神は食物窒息のリスクがある.
早期発見と廃用予防,病態に応じた介入が有効である.ON時間帯の摂食や姿勢調整が初期対応として必要である.改善効果のエビデンスがある介入は,呼気筋力訓練,Lee Silverman Voice Treatment,メトロノームによるリズム訓練などである.