2019 年 56 巻 4 号 p. 277-281
現在,脳卒中者の歩行再獲得に向けた理学療法においては,短下肢装具と長下肢装具の両者が,装着による即時効果に加えて継続的使用による治療効果をも期待して使用されている.短下肢装具には歩行速度の向上などの効果が確認されているが,歩行相や関節運動によって運動学的影響の有無が異なり,適応を検討して用いる必要がある.長下肢装具についてはエビデンスがないものの,歩行未自立者のトレーニングのためのデバイスとして,一部ロボット制御も加えて活用され始めている.今後,両者の特性の差が生じると推測される股関節に対する作用や,長期的な使用による変化について十分な検証を行うことが,エビデンス構築の一助となるであろう.