2021 年 58 巻 4 号 p. 443-449
目的:近年,脊椎圧迫骨折が急増するも,患者は在宅療養で廃用が進む.そこで,積極的なリハビリテーション治療に取り組んだ成果と背景分析結果を報告する.
方法:地域連携室に直通のホットラインを設けて受け付け,ストレッチャーで収容可能な専用車両を準備して患者を収容した.
結果:約1年間に127名を収容した.急性期病院,診療所,ケアマネジャーからそれぞれ46%,31%,20%依頼され,年齢は84±7.5歳で,男性38名と女性89名である.入院時の日常生活自立度はC1,B2,C2がそれぞれ36%,31%,20%と,日常生活で困窮する例が大半であった.併発症を多く有するので6剤を超える多剤服用者が61%いる一方で,骨粗鬆症の治療は23%でしか実施されていなかった.
家庭環境では,独居が51%とほぼ半数を占め,夫婦2人が20%,親子2人が15%で,大半の家庭内で満足できる介護の状況でなかった.
また,リハビリテーション治療の遂行に障害となる要因を統計的に分析したところ,加齢,心・腎機能低下が課題として浮上したものの予後は良好で,91%は自宅または介護施設へ退院した.
結論:独居の高齢女性に多く,大半がほぼ全介助の状態にある本症患者を積極的に回復期リハビリテーション病棟に収容することは,地域医療においてきわめて重要である.