2023 年 60 巻 11 号 p. 933-940
神経難病は進行するだけで治療やリハビリテーションは不可能と考えられてきたため,歩行などの運動機能回復のための治療法の研究は十分行われてこなかった.この10年のHAL医療用下肢タイプ(Cyberdyne Inc.製)の医師主導治験(NCY-3001,NCY-2001試験)の成功と疾患修飾薬の実用化の中で,ニューロリハビリテーションの概念は神経筋疾患やHTLV-1関連脊髄症,遺伝性痙性対麻痺などの神経難病に対する科学的な機能再生治療として整理され,HAL医療用下肢タイプは実用期に入った.HALによる歩行運動治療の原理および基本的なエビデンスについて解説し,今後の複合療法の可能性について展望する.