2023 年 60 巻 9 号 p. 749-753
脳損傷後の神経可塑性については,動物モデル研究および臨床研究によって明らかにされた.身体の使用頻度によって脳の構造的変化が生じることや,課題の練習の伴う学習の経験によって脳の機能的変化が引き起こされることが明らかになったことは,リハビリテーション医療にとって重要なエビデンスとなった.脳損傷後の運動麻痺からの回復には,麻痺の重症度による違いはあるものの,残存する運動関連領域の機能的代償,非損傷半球の関与,機能的活動の増加,そして関連領域間の正しいコネクティビティの強化が重要な要素である.