論文ID: 19040
目的:血管内治療(EVT)を受ける末梢動脈疾患(PAD)患者の身体機能の実態およびEVT術前の身体活動との関連について明らかにする.
方法:対象はEVTを受けたPAD患者101例.身体機能は握力,歩行速度,等尺性膝伸展筋力体重比とした.国際標準化身体活動質問票を用いて1週間の身体活動より低活動(0 kcal/週:n=52),中程度活動(0 kcal以上500 kcal未満/週:n=22),高活動(500 kcal以上/週:n=27)の3群へ分類した.歩行障害質問票(WIQ)にて間欠性跛行症状を評価した.身体活動を従属変数,等尺性膝伸展筋力体重比0.4 kgf/kg未満,年齢,性別,WIQを独立変数とした多変量解析(累積ロジットモデル)を行った.
結果:身体機能の実態は握力(kg;男性28.1,女性16.6),歩行速度(m/s;男性1.1,女性0.96),等尺性膝伸展筋力体重比(kgf/kg;男性0.42,女性0.28)であった.また,等尺性膝伸展筋力体重比0.4 kgf/kg未満の割合は56.4%であった.等尺性膝伸展筋力体重比0.4 kgf/kgは低活動と中程度活動(odds:0.99,p=0.98)群間において関連を認めなかったものの,低活動と高活動群間(odds:5.02,p=0.007)に関連する因子であった.
結論:EVTを受けるPAD患者の身体機能は低下しており,下肢筋力低下はEVT術前の身体活動の関連因子であった.