論文ID: 20040
目的:本研究の目的は高齢内科患者における理学療法開始時の日常生活活動能力が自宅退院に影響を与える因子を明らかにすることである.
方法:解析対象者は研究期間内に理学療法の依頼があった65歳以上の内科疾患患者691名のうち,除外基準を満たさない186名であった.調査項目は転帰先,理学療法開始時のBarthel Index(BI)とした.統計解析はロジスティック回帰分析から自宅退院の可否とBIの関連性を検討し,ROC曲線よりBIのカットオフ値を算出した.
結果:対象者(年齢77.3±6.9歳)は自宅群169例,転院群17例であった.ロジスティック回帰分析の結果,理学療法開始時BIは自宅退院に影響を与える因子であり(OR:1.54,95%信頼区間:1.23~1.89),自宅退院を予測するためのカットオフ値は72.5点(感度0.80,特異度0.94,陽性的中率0.99,陰性的中率0.32)であった.
結論:高齢内科患者における理学療法開始時BIは自宅退院に影響を与える因子であり,これらの結果は退院支援の必要性を判断する一助となる可能性がある.しかし,本研究で得られた結果は陰性的中率が低く,適応対象が限定されるため一般化には注意を要する.