論文ID: 20046
二分脊椎は,新生児期から成人期までライフステージごとに診療科横断的な治療が求められ,またさまざまなリハビリテーション診療が必要となる疾患である.本研究は,小児総合医療施設におけるよりよい二分脊椎児のリハビリテーション診療の実施につなげるために,その診療体制の現況を明らかにすることを目的として実施した.一般社団法人日本小児総合医療施設協議会会員施設を対象としたアンケートにより,調査を行った.二分脊椎を対象とした診療科横断的な連携は,小児総合医療施設の67%で行われていて,リハビリテーション科はほとんどの施設でその連携に参加していた.一方で,小児総合医療施設において整形外科急性期の運動器リハビリテーションは十分実施されているものの,回復期・生活期のリハビリテーション,教育機関・地域の療育施設との連携については十分実施されていない現状が明らかになった.小児リハビリテーション診療全般として,回復期・生活期のリハビリテーション診療については,療育センターなどの小児総合医療施設以外の施設で実際行っている,行うのが望ましい,との回答が多く,小児リハビリテーションにかかわる人材の確保・育成を含めた適切な診療体制や,地域施設との連携体制の構築が,二分脊椎のリハビリテーション診療を含むよりよい小児リハビリテーション診療を実施するために求められると考えた.