論文ID: 23010
「入院時オンライン家屋訪問」は通信機器にて家屋と院内をオンライン接続下で入院初期に実施する家屋訪問である.家屋では家族と訪問した理学療法士が参加,院内では患者や医師,療法士,社会福祉士などが参加することで,家屋情報や患者・家族希望を多職種が視覚的にリアルタイムで共有可能となる.今回,入院時オンライン家屋訪問の有用性を検証した.
回復期リハビリテーション病棟から自宅退院に至った運動器疾患患者と脳血管疾患患者から,入院時オンライン家屋訪問を実施した患者25名(オンライン群)と入棟7日以内に従来の家屋訪問を実施した患者50名(従来群)のFunctional Independence Measure(FIM)効率を比較した.また,療法士に入院時オンライン家屋訪問後のリハビリテーション治療内容の変化について聴取した.
その結果,運動器疾患におけるFIM効率はオンライン群(n=14)1.0±0.5点/日,従来群(n=26)0.7±0.45点/日であり,オンライン群のFIM効率が有意に高く(p<0.05),在棟日数はオンライン群が従来群に比べ有意に短縮していた(p<0.05).また,療法士の83.3%が家屋訪問後に治療内容を見直し,生活動線を想起した動作練習を実施していた.
入院時オンライン家屋訪問は映像で家屋状況を把握できることでより自宅環境に見合ったリハビリテーション治療が提供でき,FIM効率の向上および円滑な自宅退院準備の促進に寄与できる介入であることが示唆された.