抄録
腎臓リハビリテーションの構成要素である運動療法は,医療者側の要因,患者側の要因,およ
び医療制度や施設の要因などのさまざまな障壁によって十分に普及しているとは言い難い。この
障壁を打破するためには,多職種から構成されるチームの立ち上げと医療者間の役割分担の明確
化が鍵となる。慢性腎臓病患者にとっての運動療法は,身体活動指導とともに疾病管理の一環と
して日常診療のなかで継続することが望ましい。運動療法や身体活動指導を適切に行うために
は,定期的に身体機能評価を実施し,その結果に基づいた介入方法を個別に検討することが重要
となる。このような一連の流れを軌道に乗せるためには,患者とともに多職種チームの皆で協力
して腎臓リハビリテーションを推進していけるような前向きな雰囲気づくりを心掛けていくこと
が大切になるであろう。