抄録
透析患者における足病変の治療は,循環・感染・靴/ 装具などの多くの問題が関与し,単科で
解決がつくものではない。形成外科としては,創傷がなるべく治癒の方向に向かうように,創傷
周囲の皮膚も含めた治療を行うことが重要である。2019 年に専門家国際諮問委員会で,その概
念について言及されたWound Hygiene(創傷衛生)のコンセプトを十分に理解し行うことが必
要である。また,多くの患者を診るにあたり,誰か一人のとてもやる気のある担当者に頼り切る
のではなく,透析患者にかかわる全ての職種の人が,足を実際にみるということを当たり前に行
い,創があれば悪化させない方法を選択できるようにすることが一番重要だと考えている。これ
らができれば,最高の治療である『完璧な予防』が可能となるからである。これからは,足病変
対策は予防がメインにならなくてはならないし,そのためにはチーム医療が非常に重要となる。