抄録
背景:受動温熱時の腎微小循環変動に対する交感神経および温熱性血管拡張の関わりの程度を
明らかにすることを目的とした。
方法:マウスのtransient receptor potential vanilloid 4(TRPV4)を阻害,またはβ受容を遮
断し,直腸温を37℃または40℃で保持したときの腎皮質血流量,心拍数,収縮期血圧,および
nitric oxide synthase 3(NOS3)mRNA 等を測定し,比較検討した。
結果:TRPV4 阻害下受動温熱では,NOS3mRNA の発現低下を伴い,腎皮質血流量が18.5%有
意に低下した(p<0.05)。しかし,心臓仕事量は変わらなかった。β受容体遮断下受動温熱では,
心臓仕事量が有意に低下し,腎皮質血流量が14.4%有意に低下した(p<0.05)。
結論:腎微小循環調節には,交感神経と温熱性血管拡張が同程度に関与していることが示唆さ
れた。
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