抄録
性ホルモンであるテストステロンは,中高年男性の健康維持に大きく関連するホルモンであ
る。テストステロンは加齢やストレスで低下することが知られており,中高年男性の慢性疾患の
発症とも深くかかわりがある。超高齢社会であるわが国においては,近年Late onset hypogonadism(
LOH)症候群や男性更年期障害に対する治療の必要性は高まっており,日本メンズヘルス
医学会およびテストステロン治療認定医を中心に専門的診療が行われている。2022 年に発刊され
たLOH 症候群診療の手引きにより診断・治療法は確立されつつあるが,いまだに社会的な認知
度は低いのが現状である。今後は,Web 問診などを利用したビッグデータ解析により,わが国に
おけるLOH 症候群の大規模実態調査が求められている。