日本胸部疾患学会雑誌
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著明な肺高血圧症を呈した肺動脈原発 myxosarcoma の1例
本間 和夫相馬 一亥高橋 唯郎中 英男大塚 洋久冨田 友幸田崎 義昭
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1986 年 24 巻 1 号 p. 63-68

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抄録
40歳女性. 昭和57年3月頃より労作時呼吸困難出現. 胸部X線上右肺に多発性浸潤影を認めた. 以後徐々に呼吸困難増悪, それとともに右肺の容積減少と移動性浸潤影の出現, さらに肺高血圧症を呈するようになり本院へ昭和57年6月入院. 入院時呼吸不全状態. 肺高血圧症の原因として再発性肺動脈血栓塞栓症と考え, 種々の血管拡張剤等投与するも改善なく, 入院1ヵ月後に呼吸不全にて死亡. 全経過4ヵ月であった. 剖検にて右肺動脈原発 myxosarcoma で, 右・左肺に腫瘍塞栓, ならびに出血性梗塞が認められた. 肺動脈原発肉腫はきわめてまれな疾患であり, 現在まで75例の報告をみるのみであり, 本邦では7例のみであった. 中でも最終組織診断が myxosarcoma であった例は過去に3例しかなく, 本邦では本例が初例である.
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