日本胸部疾患学会雑誌
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慢性肺気腫患者の拡大末梢肺動脈造影による肺循環障害度の検討
右田 礼二郎
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1989 年 27 巻 8 号 p. 894-902

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抄録
我々は慢性肺疾患患者に拡大末梢肺動脈造影を施行し, 主に capillary back ground (CBG) の変化を中心にI~IV型のタイプ分類を行い, 疾患特異性及び病態の重症度把握に有用であることを報告してきた. また従来報告したI~IV型のうちIII型をIIIa, IIIbとに二分した. I型は正常例. II型はCBGに濃淡, ばらつきを認め, 肺動脈分枝は蛇行を呈し, 慢性気管支炎に多くみられた. IIIa型は肺動脈分枝は正常であるが, CBGのみ減少, IIIb型は肺動脈分枝, CBGともに減少あるいは消失し, このIIIa, IIIb型は慢性肺気腫に多くみられた. IV型は全体に収束像を呈し, 肺線維症に多くみられた. 今回著者は, 選択的肺胞気管支造影 (selective alveolo-bronchography-SAB-) にて診断確定した慢性肺気腫66例中, 拡大末梢肺動脈造影を施行した慢性肺気腫42例につき, 上記の5型のタイプ分類を用いて肺血管構築の詳細な検討を行い, 同時に施行した右心カテーテル検査等と対比検討した. その結果, 拡大末梢肺動脈造影によるタイプ分類を試みることにより, 重症度の推定ができて, 予後の判定や治療方針の決定に有用であることを述べた.
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