日本胸部疾患学会雑誌
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肺胞洗浄液中のCEA (Carcinoembryonic Antigen) の上昇を認めた肺胞蛋白症の1例
田中 不二穂中村 政明中嶋 博徳菅 守隆杉本 峯晴安藤 正幸荒木 淑郎樋口 定信
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1989 年 27 巻 8 号 p. 968-973

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抄録
肺胞洗浄液中のCEAの上昇を認めた肺胞蛋白症の1例を経験し, 抗CEA抗体を用いた Peroxidase-antiperoxidase (PAP) 染色法にて, CEAの肺胞における局在を検討したので報告する. CEAは肺胞内に充満するPAS陽性物質と共に肺胞壁に横たわる一部の肺胞上皮細胞に局在した. また, 本症例における肺胞洗浄液中の肺胞マクロファージの数と機能について検討した結果, 絶対数の減少とガラス付着能, 伸展能, NBT還元能, Immunobeads 貪食能, およびライソゾーム酵素活性のいずれの機能についても低下していた. 肺胞蛋白症の病態は, II型肺胞上皮細胞の増殖に伴う, 表面活性物質に類似した物質の過剰産生と, その処理のために大量に貪食した肺胞マクロファージ機能の二次的な障害と考えられた.
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