日本胸部疾患学会雑誌
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Double filtration plasmapheresis が有効であった Goodpasture 症候群の1例
熊崎 智司梅田 祥克佐藤 弘一三島 秀康石原 照夫鵜沢 毅
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1990 年 28 巻 4 号 p. 628-633

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抄録
48歳, 男性. 10年前に血尿を指摘されたが放置. 発熱・咳・肉眼的血尿を主訴に来院. 急速に進行する血尿・蛋白尿・腎障害と胸部X線写真上び漫性に広がる小結節影の集簇を認めた. 経気管支肺生検標本の免疫蛍光染色にて胞隔にIgGの線状の沈着を認め, RIA法による血清抗体糸球体基底膜抗体も陽性となったため, Goodpasture 症候群と診断した. 後に施行した腎生検にてもIgGの基底膜への線状沈着を証明した. 急速に進行する腎不全・呼吸不全に対して Double filtration plasmapheresis (DFPP)・ステロイド・免疫抑制剤投与を行い救命しえた. DFPP施行前後で血清抗糸球体基底膜抗体価 (結合率) が低下し, DFPPで除去された血漿中に高濃度の抗体価を認めた. さらに経過中, DFPPを繰り返すとともに血中抗糸球体基底膜抗体価は低下し, 除去血漿中の抗体価も正常域に入った. DFPPは, 本例における抗糸球体基底膜抗体の除去に有効であると考えられた.
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© 日本呼吸器学会
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