日本胸部疾患学会雑誌
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悪性および良性胸膜炎における胸膜生検の有用性の検討
井上 祐一三浦 直樹渡辺 尚渡辺 講一堤 恒雄道津 安正河野 茂神田 哲郎廣田 正毅原 耕平
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1991 年 29 巻 3 号 p. 332-337

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抄録
胸膜生検を施行した116例について, 胸膜生検の有用性およびその他の検査法 (胸水細胞診, 結核菌, ADA, CEA等) との関連性について検討した. 悪性の胸膜疾患33例では, 胸膜生検で診断が可能であったものは19例 (57.6%) で, 胸水の細胞診の陽性率は75.8%で, 胸水の細胞診が胸膜生検より陽性率は高く, まず実施されるべき検査法であると思われた. 胸膜生検の陽性例のうち, 胸水細胞診および胸水CEAいずれも陰性のものが3例あり, すべて扁平上皮癌による胸膜炎であった. 結核性胸膜炎48例においては, 胸膜生検による陽性率は50.0%で, 胸水の結核菌の陽性率10.4%に比べ極めて優れていた. 胸膜生検と胸水中のADAの測定が同時に行われ, 最終的に結核性胸膜炎と診断された19例中16例 (84.2%) に胸水中のADAが高値となり, 胸膜生検の陽性率より優れていた. しかし, 胸膜生検陽性例中20%にADA陰性例がみられ, 胸水ADAの偽陰性の可能性を考慮して胸膜生検を併用することが望ましいと考えられた.
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