福島医学雑誌
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Print ISSN : 0016-2582
特別企画 福島県近代医学教育150年顕彰記念シンポジウム総説
難治分娩,とくに前置癒着胎盤への対応
── 福島県で安心して生み育てるために ──
藤森 敬也
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2022 年 72 巻 3 号 p. 115-119

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抄録

要旨:前置癒着胎盤は,時に母体生命を脅かす大量出血を引き起こす代表的な産科合併症の一つである。リスク因子として,帝王切開術の既往や前置胎盤が知られている。当科では,リスク因子に加え画像診断で癒着胎盤が強く疑われる症例に対して,自己血貯血し,術中超音波により胎盤を避けた部位での帝王切開(子宮底部横切開),大動脈血管内バルーン閉鎖術(REBOA:resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta)といった対応を行い,原則的に一期的に手術を行っている。2003年から2022年の子宮摘出術を必要とした前置癒着胎盤症例37例について検討したところ,REBOAは,手術時間を増加させることなく,帝王切開子宮全摘術の出血量を減少させ,その安全性と有効性を確認できた。今後も福島県で安心して生み育てるために,産科専門医を中心とした多職種の関与により,難治分娩へ対応していく。

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© 2022 福島医学会
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