日本胸部疾患学会雑誌
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急性膿胸を併発した副心臓支の1例
鈴木 正義平田 世雄
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キーワード: 副心臓支, 膿胸, 気管支鏡
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1991 年 29 巻 5 号 p. 600-605

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抄録
急性膿胸を併発した副心臓支の1例を報告した. 症例は, 40歳, 男性で, 急性の症状で発病し, 胸部X線, 胸部CT像より, 後胸腔を中心とした急性膿胸と診断した. 抗生物質の全身投与と局所注入でも軽快しないため, 外科的処置が必要と考え, 術前の気管支鏡検査で, 右中間気管支幹起始部より内下方へ向かう, 発赤浮腫を伴う過剰気管支を発見, 気管支造影で先端に気管支瘻を思わせるような小枝を有する長憩室型の副心臓支と判明した. 膿胸の局在と, 術後, 膿胸の治癒に伴う副心臓支の炎症所見の消退より, 膿胸の発生に副心臓支が関与しているものと断定した. 副心臓支が炎症をおこし, 報告されているような血痰, 喀血の原因となるほかに本症例のように膿胸の発生の原因となりうることを強調し, さらに本邦報告例54例について文献的考察をおこなった.
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© 日本呼吸器学会
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