日本胸部疾患学会雑誌
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少量金剤投与にてリンパ球刺激試験が陽性を呈した金製剤肺臓炎と思われる1例
坂東 政司滝下 佳寛坂東 弘康橋本 吉弘佐野 隆宏
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1992 年 30 巻 1 号 p. 128-132

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抄録
症例は, 67歳の女性. 20年前に慢性関節リウマチ (以下RA) と診断され, 平成2年3月より金チオリンゴ酸ナトリウム (シオゾール®) を総量80mg投与された頃より発熱, 乾性咳嗽, 呼吸困難が出現した. 入院時血液ガス所見にて著明な低酸素血症を, 胸部X線写真では両側びまん性に小粒状および網状陰影を認めた. また, 金製剤に対するリンパ球刺激試験 (以下DLST) が400%以上の陽性を示した. ステロイド剤の投与により次第に病状は, 改善した. RAの活動性の安定した時期に発症し, 金製剤に対するDLSTが陽性であり, 治療に伴い速やかに軽快したことなどから金製剤による肺臓炎と診断した. 検索しえた限り, 金製剤投与総量80mgにての発症は, 本邦における最少量発症例と考えられた. またDLSTは, 金製剤による肺臓炎の診断において有用な検査であると思われた.
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