慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者の呼吸困難感と呼吸筋機能に及ぼす酸素 (O2) 投与の効果について検討した. 対象はCOPD患者8例であり平均年齢64歳, 平均1秒量1.06Lである. 経横隔膜圧差 (Pdi) を食道胃バルーン法で, 横隔膜筋電図を食道電極を用い, 胸鎖乳突筋筋電図を針電極で測定した. 横隔膜筋電図のパワースペクトラムを求め高周波成分と低周波成分の比を横隔膜疲労の指標とした. 呼吸困難感の評価にボルグスケールを用いた. 負荷はトレッドミルによる多段階負荷法で, 20% O2吸入時と30% O2吸入時の2回行った. 30% O2吸入により同負荷量での呼吸困難は減少し, 横隔膜疲労が遅れて出現した. また中枢からの吸気筋全体へのドライブの減少が示唆され, さらに横隔膜以外の吸気筋の活動が相対的に減少していた. これらの事が呼吸困難の軽減と深く関連していると考えられ, 運動時の動脈血酸素飽和濃度の低下の軽い症例でもこのような効果を認めた.