抄録
本研究では,受け手の参与性・補完性が高いクールメディアである環境ポスターを使った環境教育を支援する自主学習型Web教材の作成とその評価実験を行った.この自主学習型Web教材は,「概要説明と属性入力」,「ポスターの意図する環境問題の推論」,「ポスターに関連する課題の自主学習」,「ポスターの再推論」,「ポスターについての関心および既有知識に関する質問」という5段階で構成されている.評価実験の結果,(1)ポスターに関連する課題に取り組んだ後,正しい推論を行った学習者が大幅に増加した,(2)学習者の既有知識が曖昧であったり不安定であったりすると,新しい情報の受容学習が適切に行われなかった,(3)ポスターに描かれている環境問題や関連する事柄に対して学習者の興味や関心が喚起された.結論として,クールメディアである環境ポスターの推論活動を取り入れた自主学習型Web教材が,自発的な関心や気づきを重視する環境教育の教材として有用であることが示された.