日本胸部疾患学会雑誌
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多発性神経鞘腫症に合併した自然気胸, 円形無気肺の1例
下元 博史宮地 卓也西脇 敬祐内田 安司横井 豊治
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1993 年 31 巻 12 号 p. 1601-1605

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抄録
症例は60歳の男性. 1987年に多発性神経鞘腫症と診断された. 1993年胸部異常陰影の精査のため当科入院となった. 胸部X線写真は左上下肺野に限局性の気胸と左S5, S8領域に円形の結節影がみられた. 陰影は胸膜の肥厚を伴い結節影へ向かう気管支, 血管の弧状陰影 (comet tail sign) がみられ, 円形無気肺と考えられた. 気胸の治療と結節影の確定診断を得るため気腫性嚢胞切除術, 肺部分切除術を施行し病理組織学的に円形無気肺と診断した. 自然気胸に合併した円形無気肺の報告は少なく, 本症例は非常に稀な症例で円形無気肺の成因を考える上で貴重な1例と思われた.
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