日本胸部疾患学会雑誌
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シロスタゾールの肺血管トーヌスにおよぼす影響
重森 一夫石崎 武志高橋 秀房佐々木 文彦飴島 慎吾酒井 哲夫大西 定司中井 継彦宮保 進
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1993 年 31 巻 8 号 p. 936-941

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抄録
cyclic AMP phosphodiesterase inhibitor であるシロスタゾールの肺血管トーヌスに対する影響を検討した. シロスタゾールはフェニレェブリン10-6Mにより前収縮させたラット肺動脈リングを10-6Mより濃度依存的に拡張させた (ED50 3.00×10-6M). またその効果はメクロフェナメート, 内皮剥離, メチレンブルーニ, トロ-L-アルギニンの前処置に影響されなかった. フェニレェブリン10-6Mにより前収縮させた胸部大動脈リングにおいても10-6Mより用量依存的に拡張させたがラット肺動脈リングに比べ拡張効果は増強した (ED50 1.89×10-6M). また, ラット肺動脈リングの低酸素性肺血管収縮をシロスタゾールは10-6M以上の濃度で用量依存的に抑制した. シロスタゾールは内皮機能の有無にかかわらず細胞内 cyclic AMP 濃度の上昇により血管拡張を来し, 低酸素性肺血管収縮抑制効果を示すと考えられた.
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