日本胸部疾患学会雑誌
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アスピリン誘発咳噺の1例
新たなアスピリン気道過敏反応の1病型
妹川 史朗佐藤 篤彦谷口 正実豊嶋 幹生中澤 浩二早川 啓史千田 金吾
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1994 年 32 巻 9 号 p. 883-887

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抄録
症例は54歳, 女性. 52歳発症の嗅覚低下を伴う通年性の喘息. ダニのスクラッチテストとIgE (RAST) が陽性のアトピー型で, ダニ抗原2×10-5mg/mlの吸入負荷にて二相性の喘息反応を認めた. アセチルコリン吸入閾値は5,000μg/mlで, クエン酸咳閾値は0.09%と亢進していた. アスピリンDLリジン静注負荷試験にて, アスピリン換算25mg静注15分後より発汗, 顔面紅潮とともに激しい咳嗽を認めたが, FEV1は不変で喘鳴も認めなかった. これらの症状は約15分間持続し, 無治療にて消失した. 他にケトプロフェン50mg筋注, スルピリン250mg筋注, アセトアミノフェン500mg経口投与で同様の症状が出現した. またアスピリンDLリジン連続投与で完全耐性を生じた. 各種非ステロイド系抗炎症剤投与でも同様の症状が誘発され, 減感作により耐性が誘導される等, アスピリン喘息 (AIA) との類似性も認められたことから, 病態的にはAIAと同様にアラキドン酸代謝系異常の関与が推定された.
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