1996 年 34 巻 10 号 p. 1084-1092
近年, 径1.0cm内外の肺野末梢の小型肺癌が発見される頻度が増加したが, その画像上の特徴は明確でない. 今回我々は, 外科切除が施行された最大腫瘍径が1.0cm以下の肺野型腺癌11例を対象として, 通常CT画像と helical scan 法を用いた thin-section CT 画像における内部構造, 辺縁の性状ならびに肺血管, 気管支の関与についてCT画像と病理所見との比較検討を行った. thin-section CT では全例に2本以上の血管の関与を認め, 内部不均一像91%, 辺縁不整像91%, と高率に認められ, 病理所見に合致するものであった. 一方, 通常CTでは血管の関与が91%, 境界不明瞭が91%, 内部不均一像が82%と高率に認められ, 通常CTでこれらの所見を認める小型病変に対しては, 悪性病変を疑って thin-section CT を用いた検討と積極的な精査が必要と考えられた.