1996 年 34 巻 10 号 p. 1130-1135
症例は68歳, 女性. 気管支喘息で経過観察中, 発熱, 右大腿部痛, 手指・足趾末端部の知覚異常および腹痛が出現した. 末梢血に著明な好酸球増多と胸部X線上左下葉に塊状影とを認めた. 筋生検で好酸球浸潤を伴う壊死性血管炎を認め, アレルギー性肉芽腫性血管炎と診断した. 本症例では便虫卵検査などから寄生虫性疾患は否定されたが, 各種寄生虫沈降抗体陽性を示し, この抗体価は副腎皮質ステロイド薬投与で臨床症状・検査所見の改善とともに低下傾向を示した. 本症例での寄生虫抗体価陽性は血管炎の病態に関連している可能性が考えられた.