日本胸部疾患学会雑誌
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3次元CTが血管走行の診断に有用だった微小肺動静脈瘻の1例
小林 修一伊藤 英司山田 玄五十嵐 知文吉田 豊相坂 治彦阿部 庄作
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1996 年 34 巻 10 号 p. 1136-1139

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抄録

症例は57歳, 女性. 検診の胸部X線写真で, 左中肺野外側に辺縁明瞭な径約1cmの小結節影を指摘され, 精査目的に当科入院となった. 病変は左S5胸膜直下に存在し, これに関与するA5b, V5bの拡張を認め, 肺動静脈瘻が疑われた. 肺動脈造影にて, 単発性の肺動静脈瘻と診断された. 瘻の部分は3次元CTでは, 形態的に腫瘤状を呈さず, 拡張した血管が不規則に蛇行しながら, 流出静脈に移行している様子が明確に捕えられ, 血管病変であることが明瞭に表現されていた. また, カラードップラーエコーでは病変からモザイクパターンの血流信号が得られ, 病変が臓側胸膜に接している事が示唆され, 胸腔鏡下肺部分切除を施行する上で有用だった. 遺伝性出血性末梢血管拡張症 (Rendu-Osler-Weber 病) との合併は認められなかった.

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