1996 年 34 巻 10 号 p. 1150-1155
3ヵ月間続く乾性咳嗽, 労作時呼吸困難のため入院した喫煙歴 (20本/日×20年) のある53歳女性. 症状出現1ヵ月前の健康診断時の胸部レントゲン写真では異常を認めなかったが, 症状出現1ヵ月後には両側びまん性の小粒状陰影を認めた. 症状は次第に増悪し更に3ヵ月後の入院時には胸部X線上陰影の増加を認めた. 胸部CT像では両側びまん性に小粒状影を認め一部は小輪状影を呈していた. 入院後10本/日程度の喫煙は続いていたが, 1ヵ月間で症状は自然寛解し, 胸部X線上も陰影の改善傾向を認めた. 胸腔鏡下肺生検でS-100蛋白陽性の異型組織球からなる肉芽腫を認め, 肺好酸球性肉芽腫症と診断した. その後も陰影の改善傾向は5ヵ月間持続している. 本例では比較的短期間に本症の発症から増悪, さらに喫煙中の自然緩解を観察することができ, 本症の自然歴を考える上で興味ある例と考えられた.