日本胸部疾患学会雑誌
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急速に呼吸不全を呈しパルス療法と免疫抑制剤の併用が有効であった抗Jo-1抗体陽性のBOOPの1例
生田 順也近藤 康博谷口 博之柳澤 聖後藤 邦彦鈴木 隆二郎高木 健三小野 謙三横井 豊治
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1996 年 34 巻 10 号 p. 1156-1162

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抄録

症例は61歳, 女性. 主訴は左膝関節痛, 咳嗽, 労作時呼吸困難. 胸部X線上浸潤影と斑状網状影を認め, aldolase, CKの高値を認めたが, 明らかな筋炎症状を呈さず急速に呼吸不全が進行し, 診断確定のため筋生検, 開胸肺生検を施行した. 筋生検所見は非特異的で, 開胸肺生検にて, BOOPと診断された. 入院後, 呼吸不全が悪化しステロイドパルス療法後, サイクロフォスファミドとプレドニソロンの維持療法にて良好に経過した. 経過中に入院時陰性であった抗Jo-1抗体が検出され臨床症状, 検査所見, 経過より多発性筋炎1皮膚筋炎の肺病変先行型と考えられた. BOOPは一般にステロイドに対する反応も良好な予後良好な疾患と考えられているが, 本症例のような急速進行性に悪化し呼吸不全を呈するBOOP症例に対してはステロイドパルス療法や免疫抑制剤などの積極的治療を考慮する必要があると考え報告した.

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